2026年1月22日 アップデート版
「今までいろんな店に行ったけど気に入った髪型になったことがない。お前の店は、俺を満足させられるのか!」
「俺の髪型は難しいんだ。下手なヤツにはできないが、お前はできるのか!」
開店以来、こうしたお電話や直接口頭で何度かいただいたことがあります。
これに対する私の答えは一つ。
「気に入ったかどうかを決めるのはお客様自身であり、提供する側の私ではありません」ということです。
■ その質問、飲食店で言えますか?
大変語弊のある言い方かもしれませんが、飲食店に電話をかけて「お前の店は美味いのか?俺を満足させられるのか?」と聞くでしょうか。
料理人は皆、「美味いものを」と思って作っています。
「まずいものを食わせてやろう」なんて料理人は、多分1万人に1人もいないでしょう。
それでも「満足できない」ことが起こるのはなぜか?それは「好みの問題」です。
薄口派の人が、行列のできる濃口ラーメン店に行けば「まずい」と感じるでしょう。
濃口派の人が、最高級の薄口ラーメン店に行けば「物足りない」と感じるでしょう。
本来は「自分の好みとは違った」と言うべきところを、多くの人は「あの店はまずい」「下手だ」と一括りにしてしまいます。
■ 技術と「好み」の残酷な関係
当店のような夫婦2人の小さな店でさえ、「店主じゃなきゃ嫌だ」というお客様もいれば、「女将じゃなきゃ嫌だ」というお客様もいらっしゃいます。
「女将がいい」というお客様にとって、私の技術は「気に入らない」ものなのです。
ですから、お電話で「気に入った髪型にしてくれるか?」と聞かれましても、最終的には相性の問題ですので「喜んでいただけるよう最善を尽くします」としか言えません。
■ 「上手な理容師」の定義
お客様にとっての「上手な理容師」とは、「自分の思った通りの仕上がりにしてくれた人」でしょう。それはそれで一つの正解です。
しかし、私たちプロから見る「上手な人」は少し違います。
店を持ってからも休日に講習へ通い、技術や薬剤知識をアップデートし、経営やウェブの勉強、あらゆる方向にアンテナを張って努力を継続している人です。
■ 最後に
当店にご来店いただいた際には、もちろん気に入っていただけるよう全力で挑みます。
過去には、初来店で「何十年通った店でもこんな風にならなかった!一番気に入った!」と仰っていただいたこともあります。
しかし、それは言わば「先頭打者初球ホームラン」のようなものです。
お互いの好みや髪のクセも手探りな初回で、そこまでの結果が出るのは滅多にない幸運だと思って下さい。
本来、何年も通い続けたお店のほうが、初めて担当する私達よりも貴方の「髪質」「髪型の好み」などを深く理解しているはずです。
「通い続けてお互いの理解を深めていくプロセス」こそが理想のスタイルへの近道であり、最初の一回でそのすべてを凌駕するのは、基本的には非常に難しいことなのです。
それに正直、あまり納得されていないような顔で帰られることもあります。
もし、当店の技術がお気に召さなかった場合は、申し訳ございませんが、それは「お客様の好みと、当店のスタイルが合わなかった」ということです。
いろんなお店のホームページやブログや各種SNSをよくご覧になり、ご自身の感性に合うお店かどうかをご判断ください。
よろしくお願い致します。