そちらのお店は気に入った髪型にしてくれますか?
私が開業したのは2000年。
右も左も分からず、毎日が勉強でした。
そんな開店当初、お客様から言われた言葉の中で、今でも印象に残っているものがあります。
「今までいろんな店に行ったけど、気に入った髪型になったことがない。お前の店は満足させられるのか?」
「俺の髪型は難しいんだ。下手なヤツにはできないが、お前はできるのか?」
「いつも〇〇理容室のマスターに切ってもらっているんだけど。」
もちろん、お客様に悪気は無かったのかもしれません。
しかし、開業したばかりの若い理容師にとっては、なかなかのプレッシャーでした。
現在ではコンプライアンスやハラスメントという言葉も浸透し、当時ほど露骨な言い方をされる方は少なくなったように感じます。
私の答えは、開業当時も今も変わりません。
「気に入るかどうかを決めるのは、お客様自身であり、提供する側の私ではありません。」
もちろん、私達は気に入っていただける髪型を目指して毎回全力で施術しております。
しかし、どれだけ技術を尽くしても、最終的に「気に入った」「気に入らなかった」を決めるのは、お客様それぞれの価値観や好みです。
飲食店でも同じことです。
少し極端な例ですが、飲食店へ電話をして
「お前の店は美味いのか?俺を満足させられるのか?」
と聞く方は、ほとんどいらっしゃらないと思います。
料理人は皆、「美味しい料理を提供したい」と思って作っています。
それでも「美味しくなかった」と感じる人がいるのは、技術だけではなく「好み」の違いがあるからです。
薄味が好きな方もいれば、濃い味が好きな方もいらっしゃいます。
本来は「自分の好みとは違った」と言うべきところを、「あの店はまずい」「下手だった」と一括りにしてしまうことも少なくありません。
理容室も同じです。
当店のような夫婦二人の理容室でも、
・店主じゃなきゃ嫌。
・女将じゃなきゃ嫌。
というお客様がいらっしゃいます。
つまり、同じ店・同じメニューであっても、評価は人によって変わります。
ですから、お電話で
「気に入った髪型にしてくれますか?」
と聞かれましても、私達がお約束できるのは
「喜んでいただけるよう最善を尽くします。」
ということになります。
初回来店で「一番気に入った!」と言われることもあります。
過去には、初めてご来店いただいたお客様から
「何十年通った店でも、こんな風にならなかった!一番気に入った!」
と仰っていただいたこともあります。
しかし、それは言わば「先頭打者初球ホームラン」のようなものです。
もちろん、そのような結果になれば私達も大変嬉しいのですが、お互いの好みや髪質、髪のクセも分からない初回で、そこまで一致するのは滅多にない幸運だと思ってください。
本来、何年も通い続けた理容師・美容師のほうが、お客様の
・髪質
・髪の生え方
・髪型の好み
・スタイリング方法
・「もう少しここを短く」「ここは残したい」といった細かなご要望
などを深く理解しているはずです。
「通い続けて、お互いの理解を深めていくこと」こそが、理想のヘアスタイルへの一番の近道だと私達は考えています。
最後に
もちろん、ご来店いただいた際には、気に入っていただけるよう全力で施術させていただきます。
しかし、正直に申し上げますと、あまり納得されていないご様子でお帰りになられる方がいらっしゃるのも事実です。
その場合は、当店の技術がお客様のお好みに合わなかった可能性もございます。
ホームページやブログ、Instagramなどをご覧いただき、「このお店なら自分に合いそうだな」と感じていただけましたら、ぜひ一度ご来店ください。
その期待にお応えできるよう、精一杯施術させていただきます。